日々変化する日本のものづくり
変化への対応、対応スピード、高まる多くの要求事項。増え続ける問題や課題。
ニーテック・ツールでは、お客様の問題解決の為に、日々研究開発を重ねております。
以下では、ロクヨンチタン合金のエンドミル加工における弊社の開発秘話をご紹介します。
ロクヨンチタン | Ti-6Al-4V チタン合金
昨今、B787等の航空機産業が日本国内で注目されております。これを期に航空産業へ参入された企業様も多いはず。
また、これに伴い各切削工具メーカーより、航空機部品加工に適した刃型を持った工具が発売されております。
しかし実際には、工具摩耗が著しく早く進行し、工具費用が高くなるばかり… そんなユーザー様も意外と多いはずです。
「チタン加工はこんなもんだ。」と、割り切る方もいらっしゃいます。
「いや、もっと超寿命の工具があるはずだ。」と考える方もいらっしゃるはず。
株式会社 ニーテック・ツールは、Ti6Al4Vチタン合金のエンドミル加工において、最も安定した御提案を致します。
課題の発見
弊社がTi6AL4Vチタン合金加工用のエンドミルの開発を始めたのは、2010年です。
競合各社が既に開発を進め、実際にユーザー様で使用され、好評を得られていた頃です。
競合他社との時間差は、非常に大きいものでしたが、チャンスとなる転機が訪れました。
各社、既に航空機部品の量産体制が整った状態で、航空機産業が停滞。
工具の見直し検討可能な時間が生まれました。これをチャンスと捕らえ、弊社の開発が本格的にスタートしました。
現地・現物・現認
弊社がチタン合金用エンドミルの開発において、最も重要視した事柄です。
チタン合金の特性など、参考書で調べ、ある程度の知識等も蓄えましたが、これらはあくまで机上の理論でしかありません。
弊社で製作した工具で、実際にTi6Al4Vチタン合金を削った音・振動・切屑・エンドミルはどうなるか!?を重要視しました。
これはチタン合金に限らず、弊社がお世話になっている企業様で、改善活動を実施する際に最重要項目としております。
初戦は完敗でした
初戦用に用意した3本のテスト品を持って、某ユーザー様を訪問。しかし、現実は非常に厳しかったです。
1本目は切削条件が合わず、3枚刃のコーナーR部全てが飛び、砕け散りました。
2本目はエンドミルが肉眼で確認出来る程、真っ赤になり加工が停止されました。
3本目は切削条件を見直しましたが、切屑を噛込んで刃がボロボロになりました。
これらの結果を持ち帰り、2年間のトライ&エラーな日々がスタートしました。
トライ&エラー
弊社の工具開発はトライ&エラーの繰り返しです。現地・現物・現認で得た情報を基に、次の作戦を考えます。
コーナーRの形状やコーティングの変更など、マイナーチェンジを行う場合は、再研磨をメインとしましたが、
スクイ角など、工具諸元に関わる部分のフルモデルチェンジが必要な場合は、新たな製作も沢山行いました。
一見コストと時間が掛かり、非効率ですが、実は最も近道で、効率的、且つ確実なのかも知れません。
メモ書きの重要性と、甘くない現実
当初は1ユーザー様でのテストのみでしたが、チタン加工のユーザー様が増え、より多くのデータ取りが可能になりました。
これにより、開発のスピードは速くなり、情報の整理を行う作業時間が増加。【なんとなく】で覚えてしまった点もありました。
こうなると、データシートには結果が書けません。開発が停滞しました。確実な仕様書と結果書を残す重要性に気付きました。
また、この頃に良い結果の出るユーザー様もありました。試行錯誤して出た結果です。非常に嬉しかった事を覚えています。
しかし、一方のユーザー様では抜群の性能を発揮しても、他のユーザー様では使い物にならないと言う、課題が出て来ました。
現実は甘く無い事を改めて痛感しました。
目標クリア。しかし、まだまだ研究。
開発を始めて約2年。ようやく各ユーザー様で、御納得頂けるエンドミルが完成しました。
大手メーカー品の様な高速切削は難しいものの、チタン合金の粗加工においては抜群の切削性と、長寿命が可能となりました。
特に側面切削においては、某ユーザー様がそれまで御使用されていたエンドミルの、約2倍の工具寿命が発揮されました。
時間を掛けて開発して来た物です。嬉しく無いはずがありません。しかし、これで完全に満足はしていません。
ライバルはすぐに追いついて来ます。ここで進む事を止めてしまうと、また振り出しに戻ります。だから研究は止めません。
現状に満足せず、日々精進の気持ちを忘れず取り組んで参ります。
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